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つまらん映画だった!

★実に詰まら映画だった!
平和を願うことだけでは、もはや平和を達成できない」という現実を全く考えず反戦平和を訴える連中のいつものつまらない話でした!
こんな映画見て損しました!



そうだそうだ



実写版『空母いぶき』をおススメできないこれだけの理由
古谷経衡 | 文筆家/著述家

5/26(日) 22:45

疲労と絶望、そして怒り―。筆者が5月24日から公開されている映画『空母いぶき』(以下、映画版)の2時間強を見終わった後に感じた率直な印象である。
 映画版は、2019年5月25日号における『ビッグコミックスピリッツ』誌上における、佐藤浩市氏のインタビューに関する事象が各方面で物議(「佐藤浩市は三流役者」論争に芸能人が次々と参戦、SNS時代ならではの現象、2019年5月15日付、週刊女性プライム、YAHOOニュース配信)をかもすなど、公開前から何かと話題の作品であった。
 この「物議」の部分については後述するとして、筆者は原作のかわぐちかいじ先生の大ファンであり、仮に事前の佐藤浩市氏のインタビューがどんな内容であろうと、また各方面にどんなハレーションが沸き立っていようが、尊敬するかわぐちかいじ先生原作の実写映画版となれば、何をおしてでも見に行くつもりであった。
 そして筆者が劇場にて映画版を鑑賞した感想は、冒頭の通り、疲労と絶望を通り越した、映画製作者の「映画」というものに対する全般的な情熱の低さと、あまりにも低い完成度に対する怒りに他ならない。
1】あまりにも酷すぎる原作改変
 漫画版『空母いぶき』(以下、原作)を読んでいる読者ならだれでも知っていることだが、原作では20XX年、中華人民共和国(当初、上陸者の国籍ははっきりしない)が沖縄県の尖閣諸島に上陸。続いて事態はエスカレートしていき中国人民解放軍が先島諸島を限定占領したところから、日中の武力衝突が起こる、という内容である。
 まず断っておくが、これから筆者が書く内容は、映画版のネタバレにあたるものでは無い。なぜなら以下2】~3】の内容は、ほぼすべて冒頭の3~5分で説明されており、また映画の予告や宣伝文句等にも書かれている事前通知の内容なので、もし映画版を未鑑賞の読者に対しても十分な配慮をしていると自負があるからだ。
 しかしながら、本稿4】~6】にかけては、本稿の構成上、やむを得ず映画版の一部分に触れざるを得ないため、映画版の事前情報を一切知りたくないという方は、本稿を読むのは遠慮したほうが良いかもしれない。

さて、ざっと事前の注意書きを述べてから、本稿を始める。
 では、原作と映画版では何がどう改変されているのか。余りにも酷い改変に、以下卒倒しないようご注意いただきたい。
2】カレドルフって何ですか?
 映画版では、そもそも『空母いぶき』(日本)の敵国として、カレドルフ(ドイツ語風?注=”ドルフ”とはドイツ語で村落を意味するが、劇中での説明はない)なる「建国3年」の島嶼国家が設定されており、このカレドルフという国が急進的な民族主義を掲げた結果、なぜか漢字名の「東亜連邦」を名乗り、日本が領有する波留間(はるま)群島・初島に武装した兵士が上陸、同島を占領する、というところから始まる。
 その敵国たるカレドルフはどこにある国かというと、映画中一瞬だけ(注意しなければ見逃すぐらいのショット)地図にて説明があるが、おおむね以下の通り。

上手の通り、フィリピンのルソン島北東部にその国(島々)が存在し、該国と小笠原諸島のおおむね中間に波留間群島・初島が位置するという設定になっている。当然のことだが赤丸で囲った部分には現実には島や群島は存在していない。
 つまりカレドルフも初島も架空の存在だが、このカレドルフが「北方艦隊」という強力な機動艦隊を有し、空母「グルシャ」に「ミグ35」を60機搭載。その他通常型潜水艦を少なくとも1隻、その他に日本本土を射程にする洋上発射型の長距離ミサイルを保有しているという設定である。
 しかし、「建国から3年」という、東ティモールのような小国が、なぜ1個空母機動艦隊を保有するだけの国力を持つのか。そして具体的にはどのような政治体制で、どのような人種の住む人々なのか(敵兵の1人がフィリピン人風の青年として描かれるのみ)、劇中での説明は一切ない。
3】かわぐちかいじ作品の真骨頂がすべて台無し
 原作では、近未来において中国が日本をしのぐ海軍力と政治パワーを持ち、いわゆる「第一列島線」の内側を自国の内海にしようと実力行使に出る。こういった原作の背景は、もちろん、ゼロ年代の後半、中国が日本をしのぐ経済力を持ち世界第二位の経済大国になったこと。
 そして中国が、南シナ海、特に南沙諸島・西沙諸島に代表されるような、近隣国(フィリピン、ベトナム、マレーシア、台湾、そして日本)において、軍事的な威嚇を現実に繰り返している(もちろんそこには尖閣諸島が含まれる)、という国際情勢の現実的な機微を漫画の中に落とし込んでいるからこそ「十分にありえる」という内容になっている。
 にもかかわらず、映画版ではそれらのすべてを無視して、カレドルフというルソン島北東にある正体不明の島嶼国家が、日本を脅かす存在という設定になっている。この時点で、映画的リアリティは全くない。
 そしてカレドルフと中国は、別個の国家として描かれている。これでは自衛隊が怪獣や宇宙人と闘うのと何ら変わりなく、その意味でなら庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』(2016年)がいかに精密かつ完成度の高い作品であるかが分かろうというものだ。
4】散漫な構成と陳腐な演出
 原作からの改変点はなにもこれだけではない。映画版は、大まかにいって以下4つの視点から描かれる。
1)カレドルフの機動艦隊や航空機などと直接戦闘を交える『空母いぶき』の艦長(第5護衛隊群作戦司令)ら
2)東京にある日本政府(佐藤浩市氏演じる垂水総理ら)
3)なぜか『空母いぶき』に同乗することになる記者2名
4)コンビニエンスストアの店長と店員
 であるが、1)と2)はともかく、3)と4)に関してはこの視点の挿入が劇中の劇的盛り上がりを阻害するどころか、その関係性さえ映画の中で合理的説明がなされていない。
 3)の、なぜか『空母いぶき』に同乗することになる記者2名は、大手新聞社の男性記者とネットニュース会社の女性記者なのだが、筆者は鑑賞後にパンフレットで確認するまで、この両者の関係性が全く分からなかった。それぐらい必然性に欠ける唐突な設定である。要するに、劇中に「戦闘に関与しない」鑑賞者目線の第三者を入れたいという意図なのだろうが、その意図は全く伝わってこないし、失敗している。
 そして4)の、劇中でしばしば挿入されるコンビニエンスストアの店長とその店員のシークエンスに関しては、そもそも何ら脈絡が存在せず、なぜコンビニエンスストアの模様が緊張感の高まる「はず」の戦闘シーンのシークエンスの中や前後にいちいち挿入されるのか、理解に苦しむ。
 映画版の監督は、恐らくこの4)の視点を挿入することによって映画版に「笑い」を含ませたいのだろうが、映画全体の構成とあまりにもアンバランスかつ無思慮な演出なので、「弛緩と緊張」という映画全体における劇的効果の役割にさえ到達しておらず、ただただ映画全体のクオリティを低下ならしめているのである(ただし、この部分は、前述した2019年5月25日号における『ビッグコミックスピリッツ』誌上で『空母いぶき 第0話』として漫画化されているが、正直後付けであり、付け焼刃的である)。
 以上、ざっと俯瞰しただけでも、原作と映画版の差違はあまりにも大きく、これを以て私は、実写版『空母いぶき』は原作『空母いぶき』とは別個の作品であると断定せざるを得ない。映画版の「原作表示」は間違いなくかわぐちかいじ先生だが、筆者はこの事実を個人的に認めたくない。
 余談だが、映画版で最も力を入れたであろう空中戦闘の部分は、艦橋(CIC:戦闘指揮所)との通信シーンで自衛隊側のパイロットの顔がアップショットになるワンパターンの演出以外存在せず、正直言って押井守監督の『機動警察パトレイバー 2 the Movie』(1993年)から比すると、現代空中戦を描く演出技量に、あまりにも差がありすぎる。押井監督の前述作品から比べれば、映画版は児戯に等しい演出水準である。
5】またぞろ陳腐な反戦平和に終始か?

かわぐちかいじ先生は、その代表作『沈黙の艦隊』『ジパング』そして『空母いぶき』で、常に日本という国家の姿や、日本人の実存その物を問うてきた作家である。そしてそれは、常に「戦後日本の国体とは何か?」という問いかけと同義であった。
 だからこそかわぐち先生の作品は、当世の国際事情に即応した「一歩先を行く、現実にあり得ることが十分に考えらるシュレーション」漫画になっているのだ。
1)『沈黙の艦隊』では、冷戦末期、アメリカの庇護のもと「籠(アメリカ)の中の鳥」としてぬくぬくと平和主義を貫いてきた日本が、「原潜国家やまと」の登場を機に、いやおうなく自主的決断を迫られ、同時に「対米自立」という戦後日本が避けては通ることのできないテーマを問うた作品である。
2)『ジパング』では、第二次大戦時代にタイムスリップした海上自衛隊のイージス艦「みらい」とその乗組員を通じて、「敗戦国日本」という歴史改変の可能性をも含むifを挿入することにより、戦後日本のありようその物を問うた作品である。
3】そして『空母いぶき』では、現在連載中であるものの、「平和を願うことだけでは、もはや平和を達成できないという国際情勢」という、冷戦構造崩壊以降の多極化した世界において、日中衝突を題材として、戦後日本が国是として掲げてきた「憲法9条の精神」そのものについて、多方面的視点からそれを問うた作品になっている。
 これは『沈黙の艦隊』以降、実に30年余りが過ぎ、作者のかわぐち先生の世界観が、時局国際情勢によって変化したことの何よりの証明である。また憲法9条に対して護憲的であり、改憲的であるか否かを問わずして、戦後日本とそこに生きる日本人そのものの実存を、冷戦崩壊以後30年を経て変化しつつある読者=日本人へ向けた現代的問いであることに他ならない。
 この、「平和を願うことだけでは、もはや平和を達成できないという国際情勢」というある種『空母いぶき』という作品の核心的テーマについて、映画版では似たようなセリフを佐藤浩市氏演じる垂水総理が放つが、驚くべきことに映画版の最終的な結論は、「平和を願えば平和は達成されるに違いない」という、陳腐化した反戦平和のお題目が、お約束(?)のように繰り返されるだけで、原作の問うテーマ性と真っ向から分裂、矛盾されたまま内在しているのである。
 厳しいことを言うようだが、映画版の制作者は、きちんと原作と、かわぐちかいじ先生の過去作品の系譜を読み込んで映画版の構成にあたったのだろうか。疑いたくなる。
 映画版は全体的に演出が陳腐で、熱量が低く、かつ重要な部分での世界観や人間関係や舞台の説明が全くなされておらず、その映画的完成度という意味での水準は限りなく低い。かわぐちかいじ先生の大ファンとして期待した映画だっただけに、誠に遺憾である。
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諸葛孔明

Author:諸葛孔明
サラリーマンを辞めて「専業トレーダー」やっています。現在は、配当重視株7割 売買3割でやっています。
(注)「FHファンド」は、個人事業届出時の屋号です。投資顧問業ではありません!

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